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このような位置づけになっている例もあるが、その場合でも、固有の意味での環境政策の担当行政機関の権限、予算、人員体制などは、産業政策や経済開発政策などの行政機関と比較すれば相対的には弱体な存在にすぎなかったのが現実である。
今日では、こうした現実は抜本的に転換されなければならない。
環境政策が産業政策や経済開発政策に従属するのではなく、逆に、産業政策や経済開発政策が総合的な環境保全計画を達成するための環境政策の一環として位置づけられるような新しい政策構成のあり方が客観的に求められているのである。
すでに簡単に紹介したように、経済体制論アプローチを代表するMは、現代の環境(および環境問題〕を基本的に規定する社会経済構造を「中間システム」と呼び、この「中間システム」のあり方を環境保全型に改革していく必要性を説いているMが「中間システム」として重視している具体的な項目は、(資本形成、(産業構造、(地域構造、(交通体系、(生活様式、(国家統治構造の6点であるが、このうちが本章でいう社会経済構造に相当する。
彼は、これらの社会経済構造のあり方や性格が「環境問題の原因や対策に決定的ないみをもっている」と述べ、「なかでも産業構造と地域構造は環境問題を規定する」と指摘しているこれは、戦後日本の公害問題の経験とその具体的な分析から導き出されてきた1つの結論であるが、現代の環境問題・環境政策と社会経済構造との係わりにおける基本的な媒介項目を列挙したものと考えてよかろう。
現代の環境政策に求められる「構造改革型環境政策」の確立とは、上記のような媒介項目のそれぞれを環境保全型に組み替えていくような政策プログラムの新しい体系的確立を図っていくことを意味している。
そこでは、環境保全型資本形成、環境保全型産業構造、環境保全型地域構造、環境保全型交通体系、環境保全型生活様式などの新しい模索が必要となる。

その際、第I部第2章で紹介した物質代謝論アプローチの観点が重要な意義をもつであろう。
しかし、こうした「構造改革型環境政策」の確立に向けての新しい模索は、まだようやく始まったばかりであり、その具体化がまさにこれから21世紀に向けての基本課題となっている。
Mは、日本の経験をもとにして、環境政策には、(被害の実態の把握と原因の究明(責任の明確化を含む)、(被害の救済、環境や健康の復元、(公害防除のための規制、社会資本や土地利用計画による汚染の削減とアメニティの保持、(予防(費用便益分析、環境アセスメント、国土計画)、の4つの側面があるという整理を示している。
これは、より正確にいえば、本文で示した環境政策における3つの政策分野のうち、特に第1の汚染規制政策を中心にして、その諸側面を整理したものだといえる。
しかし現代の環境政策における政策分野を総合的に考えれば、本文で示したような整理が必要であろう現代の環境政策は、すでに述べた3つの基本的な政策分野の総合化を求められていると同時に、他方では、次のような3つの政策次元の総合化も求められているすなわち、①地域的次元(地域的環境政策)、②圏内的次元(国内的環境政策)、③国際的次元(国際的環境政策)の総合化である。
つまり現代の環境政策は、3つの政策分野と3つの政策次元のさまざまな組合せから構成されるということになるが、各国の環境政策の具体的実情は、それぞれの国の歴史的経緯、政治経済の構造や制度、社会的慣習、技術や文化の水準、国民意識や市民運動のあり方、などによって異なっている。

また国際的環境政策については、環境保全をめぐる各国間の国際協力や国際条約の締結、国連環境計画CUNEP)やOECD環境委員会等の国際組織の活動、ECにおける共通環境政策、などの蓄積があるが、その本格的な展開はこれからの課題である。 この国際的次元での環境政策のあり方をめぐる問題については独自に検討すべき論点が多々あるので、本章ではとりあえず、それを捨象した次元での議論に限定している。
公共政策としての環境政策が一体いつ頃から始まったといえるのか、という問題は今後の歴史的研究に待たねばならぬところが多いが、最も早く近代の産業革命が進行したイギリスを例にとれば、それは19世紀の半ば以降だと考えてよい(たとえば、1855年「公害防止法j、1863年「アルカリ工場法j、1866年「公衆衛生法」の制定、など)。 しかし現代の環境政策が、主要な先進工業諸国を中心としていっせいに本格的なスタートを切ったといえるのは1960年代後半から1970年代にかけての時期であった。
その後、引き続き第3次規制の期間に入っている。 この第3次規制では、1994C平成年を目標に、308トン(うち産業系69トン)にまで削減するという計画になっている。
1979年度から導入されている東京湾でのCOD総量規制の基礎になっている発生汚濁負荷量の算定数値は、東京、埼玉、神奈川、千葉の1都3県が行っている算定を単純に合計したものであり、この各都県問のデータには精粗の大きなバラツキがあるという。 また発生汚濁負荷量の数値そのものが、東京湾に流入する汚濁負荷量の実態を表わすものではない。
東京湾への流入汚濁負荷は、①河川経由のものと、②湾岸域の工場や家庭、下水処理場などからの直接流入によるものとがあるが、高尾氏(東京工業大学)が1980年ベースで独自に算定した数値では、CODに関する流入汚濁負荷量は373トン/日と推計されている。

「東Kの水のネットワーク」を参考にしたものである目M、注の前出書、参照。
なお、日本の環境庁の地球環境経済研究会グループが1990年6月に出した「地球環境の政治経済学」(D社)も、現代の環境危機にのぞむ政策スタンスのあり方として以下に述べるような13つの立場」があるとし、そのうちの第3の立場からの政策が今客観的に求められていると指摘している。
すなわち第1の立場は、社会経済活動が環境を損なうのであるからその社会経済活動の水準を低下させることにより環境を保全するという立場、第2の立場は、環境保全を経済成長の制約要因とみなしこの制約を技術によって「ブレークスルーJ(突破)しようとする立場、そして第3の立場は、社会経済の構造そのものを環境に適したものに変革していく立場であるとし、この第3の立場は持続可能な発展の立場であり、いわゆるオルタナティブの考え方でもある。
環境問題の物理的現象面だけを独立して議論し、処理技術の適用によって解決を図るというのではなく、環境に影響を与える産業構造、エネルギー供給・需要構造、交通体系、貿易構造、ライフスタイルなどを望ましい方向へ誘導していこうとするのがこの立場であるこの立場は、環境に適合した質的成長を目指すものである」と述べている(向上害、152155ページ、参照)。
これは、本章の立場と一致する重要な指摘だといえよう。 (汚染規制政策(アメニティ政策(自然保護政策(「構造与件型環境政策」(「構造改革型環境政策」論点を深めるためにI(1970年代以降における日本の環境政策の具体的な展開について調べてみよう。
(その中で、東京湾の水質汚濁対策の事例以外で、「構造与件型環境政策」から「構造改革型環境政策」への転換が求められている事例を取り出し、具体的に検討してみよう。 (日本以外の国の環境政策の具体的な展開についても調べてみよう。
経済活動による空気や水や土の汚染は、人間の健康に直接の被害をもたらすものから、地球生態系の破壊を通じて、間接的に人間の生存を脅かすものまで、さまざまなスベクトルをもっている。

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